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【6.14 GHC2大選手権試合特集記事】 反選手会同盟・齋藤彰俊&井上雅央 不変の存在と魅力

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(文・鈴木健txt.

 

 6・14TVマッチで組まれた二大シングル戦は、いずれもAXIZvs反選手会同盟となる。10ヵ月前の8・4後楽園ホールで齋藤彰俊と井上雅央がGHCタッグチャンピオン組の潮崎豪&中嶋勝彦に挑戦した時点では、まさかその後にこのような展開が待ち受けているとは当の4人さえも想像していなかったと思われる。

 あの一戦は2019年のGHCタッグ戦線でも特筆すべきタイトルマッチとして絶賛された。それはひとえに、ノアファンの井上に対する情の深さと言っていい。

 フリーの立場でありながら井上はそこへいるのが当たり前のように、ノアのリングへ上がり続けている。あまりに自然なため、外から見た限りでは所属としか思われていない。

 タイトルマッチやメイン級のカードに名を連ねるのは何年かに一度ぐらいでありながら、ファンは井上がそこにいるだけで無条件に「マサオー!」と声援を飛ばしたくなる。プロレスラーとしての実績を、人間味そのものが超越した男は強い。勝とうが負けようが価値が下がることはないからだ。

 そんな井上がベルトに挑戦するとなった時、ノアファンは「いざ鎌倉!」とばかりに後楽園ホールへ集結。潮崎のチョップと中嶋のキックでサンドバッグならぬサンドイッチ化しいたぶられながらも、それに耐え抜き反撃する姿に、ありったけの「マサオ」コールを送った。

 なぜこんなにも人は井上雅央へ夢中になれるのか。勝つ姿よりも負けてヘロヘロになり肩を落として帰っていく姿の方が多い。1・5後楽園ではマイケル・エルガンに8秒で瞬殺されても、逆に「マサオだからこういう試合が見られた」と評された(本人はビタ一文嬉しくないだろうが)。

 これはもう、ひとえに思い入れのなせる業としか言いようがない。その筆頭格が齋藤となる。

 井上がデビューした1991年、齋藤はインディー団体・W★INGの旗揚げ戦に参加し、そこで初めてその名をファンに轟かせた。前年12月にプロのリングを踏み公式プロフィル上はそれがデビュー戦となっているが、こちらがプロレスラーとしての実質的な初陣とした方がいいだろう。

 井上は4月、齋藤は8月とわずか4ヵ月違いの“同期”となる。まったく別々の道を歩んできたが、2000年に齋藤がノアへ参戦するようになり、その4年後にはダークエージェントを結成。

 秋山準率いるスターネスを脱退した齋藤が白羽の矢を立てたのは、中堅どころとして目立った活躍を見せていなかった井上。つまり、その頃から気にかけていたことになる。

 このムーブメントが、2006年4月24日へとつながっていく。井上にとって生涯最初で最後の(現時点で)日本武道館メインのリング。秋山に挑戦したGHCヘビー級戦は今も語り草となっている。

 この時も、齋藤は他のダークエージェント・メンバーとともにセコンドへつき、まるで自分が闘っているかのごとく井上にゲキを飛ばした。今回、同じノアのシングルタイトルであるGHCナショナル王座へ挑戦を表明する井上の姿に、14年前のあの日をフラッシュバックさせたマサオマニアもいたと思われる。

 盟友としていつも隣にいてくれる齋藤が、6・14という濃密な意味を持つ日に潮崎へ挑戦する。そこに何かを感じての行動だったかどうかは井上のみが知るところだが、何年周期化で訪れると思われていた“マサオ火山”が、10ヵ月のスパンで噴火するとあればファンとすれば嬉しい誤算となる。

 先日、ニコニコプロレスチャンネルにてアンケート機能を使った勝敗予想をしたところ、潮崎66.6%-齋藤33.4%だったのに対し、ナショナル戦は中嶋50%-井上50%となった。リアルタイム視聴者に限られたデータではあるが、そこには「マサオだったらとてつもないことをやってくれるはず」という期待感がビッシビシ伝わってくる。

 いずれもAXIZvs反選手会同盟のタイトル戦でありながら、その背景はまったく違うもの。だからこそ、同じ日にこの2試合がラインナップされたところに機運を感じてしまう。

 機運を引き寄せたプロレスラーは強い。齋藤がGHCヘビー級、そして井上がGHCナショナルのベルトを巻いて2人並んでポーズ写真に応じるシーンが6・14のエンディングになったら…たまらないとしか言いようがない。

 

 

■ABEMANOAH “GO FORWARD” powered by ABEMA

放送日時:6月14日(日)よる7時~11時(予定)

放送チャンネル:格闘チャンネル

放送URL:https://abe.ma/3gzZx42

<試合>

▼GHCヘビー級選手権試合

第33代選手権者・潮崎豪 vs 挑戦者・齋藤彰俊

▼スペシャル6人タッグマッチ

武藤敬司&丸藤正道&望月成晃 vs 清宮海斗&谷口周平&モハメドヨネ

▼GHCナショナル選手権試合

第2代選手権者・中嶋勝彦 vs 挑戦者・井上雅央

▼6人タッグマッチ

杉浦貴&桜庭和志&レネ・デュプリ vs マサ北宮&稲村愛輝&征矢学

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