ニュース | プロレスリング・ノア公式サイト

ニュース

【緊急寄稿 第1弾!】7/9東京たま未来メッセ大会前に必読!「拳王率いる反骨の集団”金剛”とはなんだったのか?そしてNOAHに残したものとは?」

インフォメーション

 金剛は拳王が2019年5月4日、NOAH後楽園ホール大会で結成した反骨集団である。その火種は清宮海斗との新時代タッグだった。

 

 拳王は同年春の「GLOBAL TAG LEAGUE 2019」にGHCヘビー級王者の清宮とともに“海王タッグ”として出場。NOAHの新時代を担うチームになるかと思われたが、同年4月30日の最終公式戦で事件が待っていた。

 勝てば決勝進出の可能性があったが、なんと齋藤彰俊&井上雅央組に敗北。清宮がベテランコンビの術中にはまってリングアウト負けとなったのである。

 その一戦後、拳王は不甲斐ない清宮に「会社におんぶにだっこだから油断があるじゃねぇのか。オレとオマエは今日で終わりだ。オレはオマエのかませ犬じゃねぇんだよ!」と絶縁を宣言。4日後の5・4後楽園大会で「己の強い信念を持ってるヤツら、今、このリングに出てこい!」と呼びかけると、マサ北宮、小峠篤司、稲村愛輝が賛同し、新軍団「金剛」が始動した。

 

 

 ちなみに、拳王が1982年10月8日の新日本プロレス後楽園ホール大会で藤波辰巳(現・藤波辰爾)に言い放った長州力の名言を拝借したのは、長州が当時のNOAHを運営していたリデットエンターテインメント株式会社の会長を務めていたからだ。拳王は当時の親会社が清宮を「強烈にプッシュしてる」と主張していた。

 

 閑話休題。拳王は新軍団結成の際「NOAHを金剛のごとく、ダイヤモンドのような輝きにしてやるからな!」と所信表明。ダイヤモンドの和名は金剛石。金属の中で最も硬いダイヤモンドのような“強い信念”で、親会社の意向に左右されず自分たちの考えでNOAHを引っ張っていくという意味が込められている。

 当時のNOAHは2018年11月に「GLOBAL LEAGUE 2018」を制した清宮が12月に杉浦貴を破って、GHCヘビー級王座を初戴冠。2019年3月に“方舟の象徴”丸藤正道の挑戦も退け、NOAHに“新しい景色”を見せ続けている時だった。そんな中で拳王が強烈なアンチテーゼを投げかけたのだ。

 拳王は同年8~9月の「N-1 VICTORY 2019」を制覇し、11月2日、両国国技館大会で清宮のGHCヘビー級王座に挑戦。それまで団体を引っ張ってきた丸藤、杉浦、潮崎豪、中嶋勝彦のいないビッグマッチのメインイベントは、NOAH新時代の幕開けを予感させ、敗れたとはいえ、金剛のリーダーである拳王はその一翼を確実に担っていた。

 

 

 その後の金剛は拳王の強烈なリーダーシップの下で正規軍、杉浦軍、M's allianceと抗争を繰り広げながら、NOAHのタイトル争いに常に絡んでいき、軍団興行「DIAMOND」も定期的に開催。来る者は拒まず、去る者は追わずの姿勢で、仁王(元・Hi69)、覇王(元2AW・さとうゆうき)、征矢学、タダスケ、中嶋、亜烈破(現・アレハンドロ)、船木誠勝、大原はじめ、近藤修司が加入し、袂を分かつ時も基本的には潔く送り出した。

 

 金剛の活躍はNOAH内だけにとどまらない。2022年1月には新日本プロレスとの全面対抗戦で内藤哲也率いるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンと激突。2023年1月にはロス・インゴとシングル五番勝負で雌雄を決した。3月には全日本プロレスで拳王&征矢が世界タッグ王座、4月にはDRAGONGATEで拳王&近藤がオープン・ザ・ツインゲート王座をそれぞれ奪取。NOAHのみならず業界全土から高い支持率を集める人気軍団になりつつあったその矢先――。

 

 6月24日、NOAH徳島大会における自身の15周年記念大会のエンディングで拳王は「安定望めば進化なし。今日で金剛を解散する!」と突然の表明。「NOAHを業界のトップにもっていく」ためには現状以上の飛躍が必要不可欠だと判断し、発展的解消という道を選んだ。

 

 金剛が誕生した4年前、NOAHはまだまだ「業界のトップ」を目指せるような団体ではなかった。しかし、現在はどうだろうか。昨年7月から今年2月21日まで武藤敬司引退ロードという“バブル”もあったが、日本武道館、有明アリーナ、横浜アリーナ、東京ドームにも進出。そうした“メガイベント”で勝負できるようになったのも、金剛という刺激的な軍団が日常の闘い、団体の屋台骨を支え続けてきたからと言っていい。

 金剛の強い信念は原石だった選手たちをピカピカに磨き上げ、彼らと対角に立ってきた選手たちも負けないように煌めいた。現在、NOAHの闘いはダイヤモンドのようなまばゆい輝きを放っている。

 

(文提供/週刊プロレス 井上光)

関連興行